起業前に知りたい!収支計画書の作り方・メリットまとめ!

この記事は、初めて収支計画書を作る人のために書きました!

これから起業する人、社内の新規事業立ち上げを担当する人、副業をしたいと思っている人、の参考になる記事になっています。

会社員時代にこのような書類を作成した経験のある方はササっと書けるのかも知れませんが多くの方にとっては見慣れない書類だと思いますので、ひとつずつ解説していきます!

この記事でわかること
  • 収支計画書の具体的な書き方、目的、メリットが分かる
  • 事業を起こすイメージが膨らんでくる
  • 作成時の注意点やポイントがわかる
目次

1.収支計画書とは

収支計画書とは、未来のお金の出入りについて予測して作った損益計算書(PL)です。金融機関から融資を受ける際に提出したり、自身の事業の今後の計画をたてたりするときに作成します。

通常のPLは決算後に集計されますので「過去」の成績表となりますが、起業する際は、過去のPLなどないのでこの収支計画書の出来ばえが金融機関からはとても重要視されます。

1-1.売上・支出の予測

収支計画書を作成する上で、収入と支出の予測を正確にすればするほど計画的な資金繰りが出来るようになります。

未来のことなので完璧に予測することは不可能ですが、入念に調べて精度を上げる必要があります。

1-2.収支計画書を作成する目的

融資を受ける際に作成を求められるので仕方なく作成した、という方も多いと思いますが、本来の目的は、お金の出入りを正確に把握することです。

ビジネスの業態によっては売掛金、買掛金などの影響でお金の出入りが異なります。

  • 売掛金…商品を販売し代金を後で貰う権利
  • 買掛金…代金を後で払う義務

飲食店などはその場でお金を頂くので比較的分かり易いですが、建設業など納品・検収それから請求して入金となるのでちゃんと計画しておかないと資金ショートする恐れもあります。

いつまでにいくらお金が必要なのか?を社長自ら把握し計画を立てるためにも収支計画書は大切です。

1-3.作成するメリット・デメリット

メリットは、金融機関から融資を受けられやすくなるということです。実態に即した精緻な計画書であれば融資担当者も納得しやすいでしょう。

デメリットは、不慣れな人は作成に時間がかかってしまいます。また、創業時は多忙なので作りっぱなしで終わらせてしまうケースもあります。

1-4.作成した後の使い道

融資を受ける際に作成はしますが、「その後」予測通りに事業が進んでいるか毎月確認するのに使います。

計画と差異があれば軌道修正したり、原因を調べたりと融資を受けること以外にも役に立てることができます。

また毎年作ることで予測の精度が上がり、将来の見通しが立てやすくなります。

2.収支計画書を作成する前に

とは言え、初めて起業する人がいきなり作成しようと思っても中々手が動かないと思います。

なので作成するにあたって、必要なデータを分析しながら作成する方法をご説明します。

必要なデータを調べる
  • 業界の黒字経営の平均的な数字を調べる
  • 黒字データから原価、人件費、売上などを想定する
  • 自分の収支計画が黒字データと乖離していないかチェックする

このように、まずはその業界についてデータを調べ、収支計画が業界平均と乖離していないか、注意しながら作成した方が、より現実味のある計画書が作成できると思います。

3.業界の黒字経営の平均的な数字を調べる

収支計画を作る前準備として、業種ごとに原価率や粗利率が異なりますので調べます。その数字をもとに、自分の事業の収支計画を立てていきます。

探せば様々な企業のデータがありますが、大企業の数字を見ても創業期の収支計画書作成には役立ちません。ドリームゲートと弥生株式会社が4000名以上の創業者を対象に行った調査、開業リポートを見てみましょう。2013年と少し古いですが「創業期」のデータが手に入ります。

開業リポート

日本政策金融公庫「中小企業の経営等に関する調査」のデータも参考になりますが、創業期を過ぎたある程度の規模になった企業群も含まれています。

中小企業の定義は、資本金3億以下または従業員300人以下です。 創業期に従業員100人を超えるような収支計画は現実的とは言えないので、この数字を扱う際は注意が必要です。

日本政策金融公庫「中小企業の経営等に関する調査」

では、開業リポートの中で、飲食業を例に実際に収支計画を作っていきましょう

3-1.【例】創業期の黒字飲食店の収益構造

飲食業を例にして収支計画書の数字の作り方をご説明します。開業リポートによると、創業して黒字化出来ている飲食業は、

平均売上が2322万で、その内、原価率が30%となっています。

よって原価は、2322万×30%=696万円、年間にかかることになります。

月で割ると、毎月58万分の材料を仕入れている計算です。 このように、データから様々な数字が計算できます。他の項目も計算してみますと、

おおよそ毎月200万弱の売上を上げて、諸経費を引き、25万の利益が残っていることが分かります。

3-2.創業期の黒字飲食店の集客人数

次に、黒字飲食店の集客人数を予想してみましょう。売上は毎月193.5万なので、営業日25日で考えると1日7万7400円の売上になります。

居酒屋ですと客単価4000円と仮定して毎日19.4人、月484人の集客が必要になります。

一般飲食ですと客単価1000円と仮定して毎日77.6人、月1935人の集客が必要になります。

どれくらい席数を確保できるのか?一日、何回転できるのか?集客が見込めるような場所なのか?

これらのことも考慮しなければなりません。

周辺エリアの人口、最寄り駅の利用人数、バス停の利用人数と位置関係、店の前の通過人数、周辺飲食店の集客状況、なども調べておきましょう。

これら全てインターネットで調べるのは難しいので、実際に足を運んで調べてみましょう。 開業してしまったらもう後戻りできないので、事前に調べられることは全部調べるくらいの入念さは必要です。

3-3.創業期の黒字飲食店の商品価格設定

商品レシピが完成している人は、それらを1品作るために必要な原価を計算してみましょう。それを原価率で割ると販売価格を計算できます。

みのる

価格×原価率=原価 ⇔ 価格=原価÷原価率 だね!

例)鶏肉の唐揚げ(1人前)

材料費は私が適当にネットで調べましたが、この例だと596円以上で販売すればよいことになります。

こだわりの高級素材などがあればコストが上がるかも知れませんし、独自の仕入れルートや仕入れ量によってコストを下げられるかも知れません。

黒字飲食店の平均原価率は30%なのでこれを逸脱しないような価格設定にしましょう。

原価が下がれば利益も増えますので何か工夫ができないか考えてみましょう。 また、開業する場所の周りの飲食店の価格なども調べて参考にしましょう。

3-4.黒字飲食店のデータと乖離していないかチェック

商品価格設定まで終われば、実際に想定している客単価になるか確認しましょう。

美味しい料理を作りたい気持ちが先行してしまって、客単価が上がり過ぎていないか注意しましょう。

開業するエリアの客層と設定客単価がズレすぎると集客が難しくなったりします。

3-5.創業期の黒字飲食店の人件費

開業リポートによると創業期黒字飲食店の平均従業員数が5.05人とあります。

アルバイト1人あたり月に10日稼働と仮定すると

時給1000円×6時間×10日=6万円

6万円×5.05人=30.3万円

黒字飲食店の人件費は毎月67.7万のため、

自分の給与は、差し引いて37.4万円くらいだなというのが分かります。

もちろん開業する店舗の面積や回転数によって必要な人員は変わると思います。

上記のケースだと、5人が10日稼働なので、50日分の稼働量になります。

営業日が25日なので、稼働量50日分÷25日で、1日2人はアルバイトが稼働していることが予想されます。 アルバイトの募集方法を調べたり、知り合いに良い人がいないか相談したりしながら、開業日が決まったら採用も準備していかなければなりません。

3-6.創業期の黒字飲食店の手持ち資金

開業リポートでは、「手持ち資金÷月の運転資金=安全率」と定義しています。

安全率は、「売上ゼロでどれくらい会社を維持できるか?」の目安になります。

創業期の黒字飲食店は、

手持ちの資金が733万

月の運転資金が155万

⇒ 安全率4.7

つまり約4.7カ月は売上ゼロで運営できる計算になります。

コロナ禍で多くの飲食店が撤退しましたので、安全率はもっと高めに設定した方が良いと思います。 なるべく起業準備中の段階で貯蓄はたくさんするようにしましょう。

3-7.借入金と利息を考える

2021年度新規開業実態調査によると、金融機関等からの借入が平均803万円、自己資金が平均282万円というデータが出ています。

また、日本政策金融公庫の利息は、

新創業融資制度(無担保・無保証)(※税務申告を2期終えていない方)において1.31~2.85%となっています。

実際に日本政策金融公庫の返済シミュレーションで計算してみましょう。

日本政策金融公庫「返済シミュレーション」

  • 借入金…803万
  • 返済方法…毎月/元利均等返済
  • 返済期間…10年
  • 金利…2.85%

と入力して「試算する」をクリックします。

するとこのような結果になります。

元利均等返済にすると、毎月の支払を一定にすることが出来ます。しかし、利息が多くなり返済総額が多くなるデメリットがあります。元金均等返済を選択するとこうなります。

返済総額は減りますが、返済額が最初の方は負担が大きく、徐々に毎月の返済額が減ってくる形になります。

もちろん、創業したてなので、返済が苦しく利息だけ払ってその月を乗り切る等、シミュレーション通りに返済できないこともあると思います。 そうすると返済回数なども変わるので総額の利息も変わります。

3-8.経費(固定費と変動費)を算出する

経費は、固定費と変動費の二つに分けられます。

固定費…毎月一定のコスト

変動費…販売量に比例するコスト

飲食店であれば、材料費などは変動費になります。料理を提供すればするほど材料費は膨らんでいきます。

固定費は、人件費、家賃、水道光熱費、リース、などです。

どのコストを変動費・固定費にするかは事業内容によって異なります。

例えば、工場などは生産量によって設備の電気代が変わるので電気代を変動費にすることも考えられます。一方、小売店などは売上に比例して消費電力が変わるとは考えにくいので固定費にするでしょう。

自身の事業内容に合わせて経費を固定と変動に分けてみましょう。

3-9.損益分岐点を計算する

売上から変動費を引くと、「限界利益」が出せます。

売上-変動費=限界利益

この限界利益が固定費よりも低いと、赤字になります。

固定費を超えることが出来れば黒字にすることができます。

その赤字と黒字の境目を損益分岐点と言います。

損益分岐点の計算例)

唐揚げ定食 1食 900円 材料費270円 固定費毎月50万円の場合、何食分、売らなければならないか?

限界利益=900円-270円=630円 ※1食売れるたびに630円儲かる!

固定費50万円÷630円/1食=793.6食 よって唐揚げ定食794食以上、提供すれば黒字達成!

3-10.売上を達成できる根拠を書く

損益分岐点を計算してみたら、それが達成できる根拠を考えてみましょう。

先ほどの唐揚げ定食の例で考えてみると、

  • 月794食なので25営業日で1日32食販売する必要がある
  • 席数は20席で2回転すればOK
  • 昼と夜に営業をするので2回転は十分狙える
  • 周辺はオフィスや大学もあり人通りも多い
  • 近辺飲食店のランチ時の集客状況を計算したら平均40人だった
  • 近辺のランチの平均価格は1000円なので価格面でも勝負できる

などなど、具体的な数字も混ぜると説得力が増してきます。

4.収支計画書を作成する

ここまで調べた内容をもとに数字を収支計画書に記入してみましょう。

4-1.フォーマットをダウンロードする

特にこう書かないとダメというようなルールはありません。もし拘りが無ければ日本政策金融公庫から書式をダウンロードできます。

日本政策金融公庫>サービスご案内>各種書式のダウンロード

記入例もPDFでダウンロードできますので、参考にしながら記入してみましょう。

5.作成するときの注意点

5-1.売上・原価・粗利に無理が生じていないか

ここまで、黒字経営の飲食店のデータをベンチマークにして目標の売上、原価、商品価格、集客数など計算してみました。

しかし実際、創業初月から黒字を出すのは中々難しいと思います。新規開業なので、お客様の認知率が競合よりも低いからです。

ホームページやSNS、広告など使っても認知されるのに時間がかかります。 まず初月は目標の50%くらいの達成率で考えて、認知率を上げる施策を実施していき半年~1年後までを目安に達成率100%にする、など現実味のある数字を記入していきましょう。

5-2.売上の季節変動を考える

季節性のある事業の場合、収支計画も繁忙期、閑散期を想定して記入しましょう。

例えば、ケーキ屋さんを開業するとしたら、やはりクリスマスやバレンタインなどイベントがある月は売上が伸びると思います。 こういった売上のアップダウンも考慮しながら記入していきましょう。

5-3.経費を抑えられないか考える

経費はなるべく抑えられないか、情報収集していきましょう。特に固定費は売上が厳しいときに重く感じてきます。家賃、光熱費、通信費、また材料費も細かくチェックして下げられないか工夫しましょう。

【まとめ】起業で絶対に失敗したくない人へ

いかがでしたでしょうか。

収支計画を書くために、データを調べたり実際に原価を設定したり、色々と作業が必要ですが、これが事業計画書の作成にも関わってきます。

これら全てを自分で行う必要がありますが、正しく書けているのかどうしても不安になりますよね。

初めて事業を起こされるのであれば、やはり経験者から学ぶのが一番良いと思います。

こちらに私がおススメする起業の学校を紹介します。

この起業塾をおススメするポイントは6つあります。

  • 働きながら学べるので今すぐ会社員を辞めなくてよい
  • 3カ月間で起業に必要なことを凝縮してあり、効率的に学べる
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  • リクルートで新規事業を立ち上げた、実績のある人が創業している
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  • 同じ起業の志をもった仲間を見つけることが出来る

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この記事を書いた人

プロ営業マン|10年以上培った営業ノウハウを公開 |BtoB営業全国1位→ブラック過ぎて退職→職転々→IT開発に再就職→営業力を活かし副収入450万達成|土日だけで月最高80万
fi LaboとはFinancial Independence Laboの略

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