得意先から値下げ要求されて対応に困ったことありませんか?
大口の取引先であるほど断りにくいですよね!
この記事では筆者の経験談を含めた、
「値下げ要求に対応する方法」を解説します。
筆者は製造業向けの部品や機械を売る会社で営業をやっていました。
いわゆるB to Bの会社です。
大企業から大口の商談も決めたこともありますし、
かなり強引な値下げ要求にも対応してきました。
きっと読者の皆さんの参考になると思います!
では目次をどうぞ!
価格交渉の現状
日本は少子高齢化により人手不足が慢性化しており、
最低賃金も引き上げられていて人件費も高騰しています。
どうしても価格を上げないと経営が苦しいという会社が増えてきました!
2022年2月の中小企業庁の調べによると、
価格の協議を発注者に申し入れて応じて貰えた企業が57.1%と過半数ありますが、
「価格に納得してないけど申し込まなかった」4.6%、
「協議を申し込んだけど応じて貰えなかった」4.1%、
と一定割合、価格について協議を申し込めていない企業もあるみたいです。
また、申し込まなかった理由の大半は
「取引を断られるリスク」を懸念していることが分かりました。
さらに、
コストが上昇した分で全額を価格に転嫁出来た企業は23.6%で、
殆どの下請けがコスト増の全てを価格に反映できず、
利益を削らざるを得ない状況です。
値上げどころかむしろ値下げされた企業も1.2%あるんだね…。
企業は下請法である程度守られている
日本では、合理的な説明がなく値下げを要求することは下請法違反になります。
なので、理不尽な値下げ要求は出来ないことになっていますが、
それでも取引停止のリスクのことを考えると
下請けの立場が弱いことに変わりありません。
まぁ、ぶっちゃけ理不尽だなって思うことも多々ありますよ…
また新人営業マンであれば尚更、
取引停止なんて怖くて上手く対処出来ないと思います。
ただ、ビジネスはあくまでも対等であるべきなので、
きちんとした対応をすれば大きな問題にはならないでしょう。
では、値下げ要求の対応の基本を解説します!
値下げ要求が来た時に確認すべきこと
まず、値下げ要求が来たら確認すべきことを書きます!
これらを整理して対策を練りましょう。
①取引依存度を確認
まずは売上に対してのその顧客の取引割合を確認しましょう。
これが30%を超えるような場合は、値下げ要求を断りにくいのは否めません。
もし売上30%が無くなったら経営を逼迫するのは目に見えています。
逆に、少量取引であればある程度の強気交渉は可能です。
この依存度が高い場合は、
企業戦略として新規顧客の拡大や、
新規事業の創出を試みる必要がありますが、
これらは時間がかかるので長い目で取り組むしかありません。
取引量によってパワーバランスが変わってくるんだ。
②値下げ要求してきたのは誰?
要求してきた担当者の部署や役職を把握しましょう。
購買部から通達がくるケースが多いと思いますが、
購買以外から要求がくることもたまにあります。
開発用などであれば取引が少量で価格が高い理由を説明しやすいですが、
量産品ですと取引量が多いので値下げの要求を受けやすいです。
どこの部署から連絡が来たのかで対応が変わりますので注意しましょう。
③自社の立ち位置を把握する
- 競合との取引をしているか?
- 競合の取引割合はどれくらいか?
- 取引が無くなったら顧客はどのくらい困るのか?
これらを調べて、自社の商品に対する依存度を把握しましょう。
こういった情報は購買から教えて貰えないケースも多いので
多方面の担当者から情報収集してみましょう。
私の場合は、競合にはない「性能」に対する依存度が高いことが分かったのである程度は強気な交渉が出来ましたね。顧客の情報収集は非常に大切だよ。
④過去の販売価格の実績を確認
事前に過去の取引価格を調べておきましょう。
値下げ要求の中には
「昔はこんなに安かったのに何で値上がりしてる?」
と説明を求められるケースもあります。
前任の営業が値上げしたことがあれば経緯を確認しましょう。
購買も異動などで経緯を引き継いでいないこともあります。
逆に過去から何回も値下げ要求に応じてきていれば
大きな値下げは出来ないという回答もしやすいです。
⑤粗利と損益分岐点を確認
商品1個あたりの粗利と損益分岐点は確認しておきましょう。
仮に取引停止になった場合、赤字だけは絶対に避けなければなりません。
最悪の場合、他の既存客に営業して何個販売すれば赤字が回避できるかなど、
営業として事前に危機回避策を考えないといけません。
営業パーソンが値下げ要求に対応する方法5選
次に実際に値下げ交渉に対応する方法を解説します!
価格交渉の基本①まずは話をすべて聴く
顧客の値下げ要求の根拠を確認しましょう。
購買部はコストカットが社内で評価されますので、値下げ要求は仕事のひとつなのです。
3割値下げなど、なるべく大き目な要求をしてきて、
最終的に2割カット出来ればいいや、と考えていることも多いです。
ただし、合理的な理由がなく値下げ要求をすることは下請法違反です。
「すみません、〇%値下げはどのような根拠で算出されたのでしょうか…」
と確認してみましょう。
また議事録も取って顧客の主張を整理しましょう。
聴き方としては、
「私も社長に説明しないといけないので…」
と前置きを入れると相手も話してくれやすいです。
あくまでも敵対するのではなく一緒にこの問題を解決しましょうという姿勢が大切です。
価格交渉の基本②その場で回答せず持ち帰る
相手の要求内容を確認したら、
その場で回答しないようにしましょう。
また「必ず」「絶対」など約束するような言い方はしないようにしましょう。
一度持ち帰ってじっくり議論し対策を練ります。
価格交渉の基本③市場価格を提示する
可能であれば商品の相場価格を提示しましょう。
自社が提示している価格が適正であることを説明出来ます。
ネット上に価格がないニッチな商材だとデータが少ないかも知れませんが、
独自の調査だと客観性に欠けるので、
市場調査会社から調べて貰ったデータなども活用してみましょう。
価格交渉の基本④製造コストを示す
値下げ要求に対して、限界ラインがあると思います。
こちらが「無理ですよ」と主張したところで信じて貰えないので、
製造コストを提示しましょう。
これ以上値下げしたら赤字になると分かれば相手も強くは言えないです。
毎年サプライヤーに決算書の提出を求める企業も多いので、
それらで人件費の高騰が分かればデータとして提示しましょう。
価格交渉の基本⑤商品の価値を改めて説明する
購買担当が新任の方であれば、
改めて自己紹介から商品の説明までをしっかり行い
関係を築けるように努めましょう。
知らない人からすれば
どこの商品も同じでしょ?
と考えているケースも沢山あります。
なぜこの商品が選ばれているのか、分かり易く説明しましょう。
【経験談】価格交渉の際に提示する妥協案5選
ある程度の基本的な対応を解説しましたが、
それでも値下げの要求はしてくると思います。
その時々にもよりますが、
考えられる妥協案として5つ解説します!
筆者が過去試してみて上手くいったりいかなかったり、と
確実な方法ではありませんが、参考になればと思います!
妥協案①長期継続取引の約束
価格を下げますが取引期間を長めにしてくれ、という戦略です。
こうするとこちら側としては
売上の見通しを立てやすくなるというメリットがあります。
ただしこの方法は相手側の経営の見通しが立っていないと
受け入れてくれない可能性が高いです。
また、担当者レベルでは判断できないと言われてしまうので、
役職のある権限者にアプローチする必要があります。
決済権限のある方とは、値下げ要求が来る前から
ある程度関係を作るようにしましょう!
妥協案②低価格の別機種を提案する
筆者も経験ありますが、
どうしても先方の予算が合わない場合、
別商品で対応可能か打診して成約したケースも多いです。
商品がバージョンアップを続けていると、
どうしても多機能になり過ぎて
顧客にとって要らない要素も含まれやすいと思います。
電話だけ出来れば良いって人が高額なスマホを持つようなものだな
なので旧機種で在庫があるものとか、
機能を抑えた低価格帯の商品とか、
顧客の予算に合わせた提案をすると良いです。
妥協案③原材料価格が下がったら値下げする約束をする
プラスチック製品など石油価格の影響を受けると思いますし、
いま(2022年)だと半導体不足などと言われていて、
供給が追い付いていない原材料は仕入れ価格が高騰しやすいです。
原材料価格が高いからいまは値下げ出来ないが〇%下がったら値下げする
というような落とし処が取れないか、
打診してみるのも良いと思います。
口約束ではなく書面にして提示するなど、
誠意を持った対応を見せると納得してくれる可能性があります。
ギリギリで経営している下請け企業も多いと思いますし、
値下げ出来ない根拠と誠意を持った対応を示していきましょう。
妥協案④支払いサイトを早める
値下げ要求に対して、
要求を受け入れはするが入金を早めてもらう
というのも妥協案として考えられます。
支払いサイトが早まれば資金計画を立てやすくなりますし、
キャッシュフローの改善に繋がります。
もちろん値下げして赤字になるようであれば、
このような策は意味がないですが、
支払いが遅い取引先についてはこういった妥協案も考えられます。
妥協案⑤新商品を購入してもらう
値下げをする代わりに
新商品を1台お試しで買ってもらうことも妥協案としては考えられます。
値下げはするが新商品で削った利益を取り戻す方法です。
もし購買の方であれば、
様々な部署の担当とやり取りしている可能性がありますので、
新商品が当てはまりそうな部署の担当を紹介して貰いましょう。
もちろん新商品の機能に対してニーズが無ければこの策は使えませんが、
営業として出来ることは全部やりきるつもりで試しに打診してみましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか!?
価格交渉に絶対的な答えはありませんが、
何か参考になれば嬉しいです。
この価格交渉編も追加で書き加えていくので、
更新を楽しみにして頂ければと思います!
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